DASAコンピテンスモデルを使いアジャイルとDEVOPSで高いパフォーマンスを出せるチームになる

※ 本記事は、DASAアンバサダーのIrfan Shariff氏による寄稿記事です。


高いパフォーマンスを出せるプロダクトチームとは:
アジャイル + DevOps + リーンプロダクトマネジメント = ソフトウェア開発と運用の卓越性


企業はより良いサービスを提供するために、ソフトウェアへの関心が高くなってきています。それを実現するためにサービス開発、導入、運用における高い能力を必要としていますが、簡単なことではありません。ソフトウェアの構築や運用は、これまでも、またこれからも企業に課せられた大きな課題の一つです。

アジャイルとDevOpsは、チームや組織がソフトウェア開発の複雑さを管理する技術的なプラクティスとして登場しました。しかし、アジャイルとDevOpsは異なる時期に生まれ、異なる課題に対応し、異なる表現を持っているため、相互に排他的として扱われる傾向があります。



アジャイルの起源は20年前のアジャイルマニフェストの出版、一方でDevOpsは2009年の講演「Deploys per day : Dev and Ops cooperation at Flickr」から始まりました。

アジャイルはウォータ―フォール開発の課題を解決するためにうまれました。DevOpsは運用の安定性を維持しながら新しい機能を迅速にユーザの手に届けることを可能としますが、技術革新と顧客の期待の変化によって必要性が高まり勢いを増していきました。

そして、アジャイルは、スクラムやカンバンのような製品開発や作業管理のプラクティスですが、DevOpsはツールや自動化、継続的デリバリに関連しています。

これらの出現に至る状況や現れ方、また時系列などの違いを考えると、アジャイルとDevOpsは互いに排他的な手法であり、別々に採用して実践しようと考えてしまうのは自然なことでしょう。この考え方の驚くべき兆候として、開発チームが取り入れるのがアジャイル、DevOpsはリリースチームや運用チームが行うものだ、といった極端なアンチパターンの出現でした。

いうまでもなく、このアンチパターンはソフトウェアやサービスの開発、運用を改善するという緊急のビジネス要件に対して逆効果です。そのため、アジャイルとDevOpsを別々のプラクティスとして考えるのではなく、表裏一体のコインのように、DevOpsをデジタル時代のアジャイルとして捉えてください。

より大きな視点でみると、アジャイルやスクラム、DevOpsなどソフトウェアの開発や運用を良くするために採用する手法はそれほど重要ではありません。デジタル時代のビジネスニーズや消費者の期待に応えるための製品やサービスを開発し提供、そして運用するための能力をプロダクトチームが持つことのほうが重要です。

セマンティクスについての議論を避けるため、私たちはデジタル時代のプロダクトチームがDASA(DevOps Agile Skills Association)のReference modelとコンピテンスモデルを使って高いパフォーマンスを出せるチームになるための学習と成長の道筋を提供しています。

DASA(DevOps Agile Skills Association)は、高いパフォーマンスを出せるプロダクトチームになるために必要な4つのスキルと8つの知識領域を、コンピテンスモデルで体系化しました。



DASAはチーム内に3つの作業領域を、作業プロファイルとして定義しています。作業プロファイルは「Specify and Verify」、「Enable and Scale」、そして「Create and Deliver」です。高い成果を上げているチームは4つのスキルと8つの知識領域の専門知識レベル(入門~エキスパートまで)を集合的に持ち、継続的な学習プロセスを通じて、すべての領域でチームレベルが熟達しています。

私たちは、プロダクトチームが高いパフォーマンスを出せるようになるまでは「旅」であると理解していますので、チームのそれぞれの要件に合わせた独自の成長の道筋を提示することができます。それは、DevOpsの基礎ワークショップから始まります。この2日間のワークショップでは、さまざまなスキルと知識の領域を結び付けて、チームがどのように高いパフォーマンスを出すことができるのか、そのための全体像を把握することができます。各チームメンバーは、ワークショップの最後にDASA DevOps Quick Scanを実行し、知識とスキルのそれぞれの領域における成熟度レベルが把握できるレポートを取得します。個々の結果を照合することで、チームは各領域におけるレベルを理解し、reference modelを使用して学習と継続的改善の道筋をチャート化し、高いパフォーマンスを出せるプロダクトチームになることができます。

リーダー、コーチ、プロダクトオーナーの役割は、リーダシップを発揮し、戦略的なガイドラインを提供しながら、プロダクトチームを現在の能力から希望するレベルまで成長させ、ビジネスで成果を出すために支援することです。コンピテンスモデル やreference model、そしてサポートトレーニングなどの認定プログラムを利用することで、個人とチームがスキルと知識を適切に取得し、高いパフォーマンスのプロダクトチーム作りを支援します。

追伸:あなたが仮にスクラムやカンバンショップ、もしくはScaled Agile Framework(SAFe)やDisciplined Agile(DA)、Large Scale Scrum(LeSS)などのアジャイルフレームワークを採用していても、チームをスケールするための独自のフレームワークを持っていても、どのような状況でもDASAのコンピテンシーモデルは適応できます。4つのスキル領域、8つの知識領域、3つのワークプロファイル、3つのロール、そしてコンピテンス スキャンによって、チームの現在のコンピテンスを理解し、高いパフォーマンスを出せるチームになるために必要なスキルや知識を獲得するための道筋を示すことができます。